羅生門

1950年
監督:黒澤 明
脚本:黒澤 明/橋本 忍
原作:芥川 龍之介
製作:箕浦 甚吾

 

おこがま採点:62点

『Rashomon』

朽ち果てた羅生門に雨風が強く吹き荒んでいる。

雨宿りの為、其処に二人の男が腰を下ろしていた。

一人は木樵り(志村 喬)、もう一人は旅法師(千秋 実)だ。

二人は隣り同志で座っている。

すると木樵りの男が、こう呟いた。

「う~ん。はあぁ。分かんねー、さっぱり分かんねー」

木樵りの言葉に反応して、旅法師は無言で彼に目を向ける。

再び沈黙。

そんな中、雨風に打たれ乍ら、一人の下人(上田 吉次郎)が羅生門へと走って来る。

どうやら、この男も羅生門で雨宿りが目的の様だ。

下人が蓑甲に入ったタイミングで、木樵りは話をこう続けた。

「何がなんだか分かんねー」

この呟きに興味を引かれた下人は二人に近づき、こう訊ねた。

「どうした?何が分かんねえんだ!?」

すると木樵りが、こう応える。

「こんな不思議な話、見た事もねー」

「だったら(俺に)話してみなよ。へっ、いい塩梅に、此処には物知りらしい坊さんもいるこった」

今度は下人に目を向ける旅法師。

そして木樵りの言葉を継いで旅法師も話を続けた。

「いや、物知りで名高い清水寺の強仁上人でも、おそらくこんな不思議な話は御存じあるまい」

「へ~、じゃあお前さんも其の不思議な話って云うのを知っているのかい?」

「この人(木樵り)と二人で、この目で見、この耳で聴いてきたばかりだ」

「どこで?」

「検非違使の庭で、だ」

「検非違使?」

「人が一人殺されたんだ」

黒澤 明監督作の。
羅生門を観てみました。

モノガタリー69で綴っていますが。
只今、前田 有一さんの著書『それが映画をダメにする』を読んでいる私。

其の本の中で。
羅生門がチラリと取り上げられていた事から氣になって。
鑑賞した次第で御座います。

羅生門と云えば。
芥川 龍之介氏の作品ですが。

黒澤監督作の羅生門に関して言えば。
ストーリーの90%が。
同じ芥川氏の作品である『藪の中』をベースにした映画です。
(木樵り&旅法師の時点で藪の中ですよね)

実際、羅生門の冒頭でも。
原作が。
芥川 龍之介の『藪の中』とクレジットされ幕を開けます。

扨、映画自体に関してですが。
90%が藪の中と云うのなら。
残り10%は何なのか。

残りのパートは脚本を担当された御二人による。
藪の中のオリジナルストーリーと。
印象的なラストである小説版の羅生門を踏襲した。
ミックス話で構成されております。

芥川氏原作である藪の中では。
巫女の口を借りたる死霊の物語、で幕を閉じますが。

本作羅生門では。
更なる語り部が登場します。

其の語り部とは。
トップに綴った木樵り其の人です。

藪の中に於いて。
木樵りは事後(死体発見時の様子)を語るキャラクターとして。
冒頭に登場するのみですが。

羅生門では。
被害者となった金沢武弘(森 雅之)に。
武弘の妻である真砂(京 マチ子)と。
盗賊の多襄丸(三船 敏郎)の間に起こったトラブルを。
直に観た、と告白し始めます。

結局。
何が本当で。
何が嘘なのか。。。

真相は藪の中な訳ですけど。
新しいエピソードが加わっていたのは。
ディモールトベネで御座いましたね。

それにしても。
芥川 龍之介さんの作品って。
印象に残る名作が多いですよね!

藪の中も大好きですが。
地獄変や蜘蛛の糸と云った作品もインパクト大で。
個人的には可なり好きです。
(トロッコと云う作品に関して言えば「少年阿呆だな」と云う感想しか出ませんでしたけど(;^ω^A))

扨、映画の羅生門に話を戻しまして。

本作を鑑賞するなら。
藪の中は是非予習しておいて下さい。

耳慣れない単語が色々と出て来る故。
原作を読んで、或る程度の流れを知った上で観た方が。
本作は楽しめると思います。

藪の中に全く触れた事が無いなら。
予習しておいた方がベターで御座います。

只。
一度でも藪の中を読んだ事が御座いましたら。
羅生門を即、鑑賞しても。
面食らうリスクは低く抑えられる事でしょう!
(面白い小説故、一度読んだら大体の展開は皆様も記憶している筈!!!!)

基本、洋画寄りな私ですが。
黒澤 明さんの作品も。
迚も面白いですね!!!

余談ですが。
白黒映画の羅生門に於いて。
雨の描写を撮る為に。
水に墨汁を混ぜて撮影に臨んだと。
何かの特集番組で拝見した事があります。

そんな秘話を知ると。
更に感慨深く。
羅生門を鑑賞出来るのではないでしょうか!?(^ヮ^)/

 

 

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